詩の日めくり 二〇二一年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
ることを学ぶのだろうか?」(コードウェイナー・スミス『星の海に魂の帆をかけた女』5、伊藤典夫訳)とか。片道40年の星の旅。男と女。先に男が地球にやってきた。40年かけて。地球人の娘と恋に堕ちる。別れる。地球人の娘は星を旅する。40年かけて。そこには植民地惑星があり、男が待っていた。男はポッドできたので齢をとってなかった。ふたりは結婚し、以後、100年を幸せに暮らした。物語の途中で挿入される話があって、この物語をただの陳腐なロマンスだと批評している。物語の自己内部批評だ。工夫の妙が見られる作品である。コードウェイナー・スミスの作品はすべて傑作だ。


二〇二一年五月三十一日 「深層のドラゴン」
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