詩の日めくり 二〇二一年五月一日─三十一日/田中宏輔
島にいる15歳になった少年たちが呼ばれて船に乗った。ぼくもそのひとりだ。5人の少年たちが乗っていた。3、4時間も乗っていただろうか。船のなかの時計が外されていて、正確な時間はわからなかったけれど、船を操作していた正樹おじさんが、ぼくたちに裸になれと言った。はじめは冗談だと思い、どの少年も服を脱がなかったら、正樹おじさんは怒気を含んだ声で、もう一度、みんなに服を脱ぐように言った。これは冗談じゃないんだなあと思って、みんな服を脱いで、坐って、つぎの正樹おじさんの言葉を待った。すると、正樹おじさんは、これをあそこに塗るようにと言って、軟膏のようなものを少年のひとりに渡し、それをみんなに塗るように言った。
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