詩の日めくり 二〇二一年五月一日─三十一日/田中宏輔
た。ぼくたちはしぶしぶ渡された軟膏をあそこに塗ると、正樹おじさんのつぎの言葉を待った。正樹おじさんは、もうじきある島に上陸するけれど、おまえたちは裸のまま上陸しなければならないと言った。ぼくたちは正樹おじさんの言葉に従って、島に上陸した。夏の晩だったので、裸でいても大丈夫だったけれど、正樹おじさんだけ服をきていて、なんだか変な感じがした。正樹おじさんが、おおいと大声を上げると、裸の女のひとたちが5人現われた。そのひとりひとりの女のひとたちが、ぼくたちひとりひとりの手を握りにきた。
そして、ふたりずつ、5組の男女は手を握って歩きだした。予感がしてか、ぼくたち少年たちのあそこはすっかり元気になって
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