パス・スルー/ホロウ・シカエルボク
つつあるのに気付いた、上体を起こし、肩を何度か回し、首を左右に揺らせる、そうした行為は獣のころからずっと繰り返されている、獣と人間のどちらがそうした行為をより上手くこなせるのかという部分についてはまた別問題だ、犬だって猫だって肩は凝るらしい、すべてが久しぶりに火を入れたエンジンのようだった、なんだか間抜けな感じがした、生きるということにはムラが在り過ぎるのだ、どんな場面のどんな選択にしたって―でももしかしたら、それが一番本当の景色なのかもしれない、人の住んでいない土地ほど、猛烈な風が吹き荒れるようなものだ、真実を語るときにどれだけ言葉を並べ立てても意味など生まれない、短く語ってみたってそうだ、語る
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