パス・スルー/ホロウ・シカエルボク
れば、それは死のみだ、生命活動の終了がすべての終わりだ、そこから始まるもののことは、歩んできた過去と同じくらい関係のないことだ、すべては一瞬の点滅に過ぎないのだ、ぱっと灯りが点ったその瞬間に、どれだけのものを目にして、なにを拾ってなにを捨てるのか、そしてそれが自分にもたらすものはなんなのか、それを考え、感じ、塗り替えていくことがきっと、たったひとつ重要な行為なのだ、塗り替えることに制限はない、同じ色で塗り替えてみたっていい、それは塗り替える前と同じでは在り得ない、いや、もしかしたらそのほとんどは同じ色で塗り直され続けているのかもしれない、家屋の補修と同じように…いつのまにか肉体が感覚を取り戻しつつ
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