みかづきの刺さる湖面/秋葉竹
人もいるんだし
なにも
いまの悲惨と闘ううたが
ぜってー、なわけでも
ねーだろーし
生きること
その
深さも価値もいまはもう
知らないやと
いい放ち
生きること
だれも
死なない限り生きている
わかってんだよ
あたしだって
明日死ぬか
しれねーんだよ
だから正じゃなく
奇
が
大好きなんだ
雨が
降る
雨の雫が
キラキラ光ってる
生きること
病んだ心も
病んでねーやと
いい放ち
ひとり
分け入って
分け入って
濃い緑の山を
進むのだ
そのとき
幻みたいな
うたを
きっと
聴
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