指先の輪廻/ホロウ・シカエルボク
い、その時だけの感情で描かれるべき景色だ、だから、俺は一度書いた景色をもう一度書くことを恐れはしない、それはきっと以前に書いたものと同じ景色にはならないからだ、ほんの少しの明暗や、ほんの少しの温度の上下、あるいは、そこに至るまでの様々な条件の違い、そんなものが俺を掻き乱し駆り立て続ける、なにもない日々のある一点で爆発のように広がる、俺は血眼になって―絵具の代わりにあらん限りの言葉を塗り付けていくのさ、言葉は色と一緒だ、混ぜ具合によってはまったく違った印象のものが出来上がる、俺は、過去に残して来た無数の言葉がすべて含まれた新しい詩を書く、そうして、その息吹を取り込んでまた先へ向かう力を得るのだ、意識
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