木切れ/岡部淳太郎
つめるべきものは何か? 私はこれから先何をすべきなのか?
おそらくそこにはなんの意味もない。私がこの年齢で心不全と診断されたのには意味などなく、ごくたまたまのことに過ぎないのだ。そのごくたまたまからなんとかして意味をひねり出すのが人間であり詩人であるということなのだろう。人が人生で遭遇する出来事の多くに意味などない。ただ、その人本人がそこに意味を見出したがるというだけのことだ。それならば、思い切りありもしない意味をひねり出してやろうではないか。それでこそ人であり詩人であるというものだ。
私はいまのこの海岸に漂着した乾いた木切れのような状態に意味を見出そうとしている。同時に、そんな状況をゆっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)