歩きスマホはよくない/soft_machine
たことのない、ふるぼけた小径が散歩するたび見つけられたらどんなに幸せだろう。あの角を曲がれば無人のトタン屋根のバス停にひらいた傘がくるくる回りながら浮かんで、目をほそめたらあの日の少女が駆けさるくつ音がきこえる。まるでおとぎ話のような、基本無料(散歩中に飲酒等をひらめき課金される場合もままある)の妄想はどんな高額な遊びより退屈しない。これには、やっぱり破れちょうちんや物干し竿にひらひら揺れる子どもの色褪せたパンツ、ざらざらの年輪が浮きでた板塀なんかでないとしっくりこない。
どうしてだろう、子どもの頃から綺麗な町並みにうそ寒さを感じてしまうのは。人間内部の汚れを忘却させる意図が明確だからと考えてき
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