道連れ/莉音
 
らかに中華民国のことではない。したがってフィクションである。}は否定もせず
ただ、口を閉ざした

彼は時さえ統(おさ)めようとし
社会の秩序を捻じ曲げた
弱い立場の人間へ罪を押し付け
時にはその命さえ失われた
こうして自ら育てた混沌の中で
恐怖(テロル)の化け物が産み出された

それでも人々は彼を選んだ
彼は民から信任され続けた
その頂点で彼は古い故事から詠んだ

 この世をば
 わが世とぞ思ふ
 望月の
 欠けたることも
 なしと思へば

かの藤原道長が
栄華の果てに詠い
人生の下り坂の始まりとなった
不吉な歌を

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