戦争と戦争ごっこの話/ホロウ・シカエルボク
 
だが、どういうわけかそいつは俺を見つけると真直ぐに近付いてきた、にやにや笑っていた、俺も同じ顔を返した、にやにや笑うことなら得意だ、楽しませてくれるのかなと一瞬期待したが、それまで話していた内容から察するにどうも無理そうだった、「あんた確か書いてる人だよね、どっかの店で朗読してるの、見たことあるよ」、それはどうも、と俺は礼を返した、なるほど、見覚えがあったから寄って来たわけか、「暗いのばっかり書いてるよね?血がどうのとか、宿命がどうのとか、時代錯誤な感じのさ」、性分だからね、と俺は答える、若い男は畳みかけてくる、「だからさ、あんたみたいなのがいつまでも書いてるから駄目なんだよ、詩ってものに悪いイメ
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