海に暑いので出かけた/番田
ていた。その、揚げ方も、チェーン店のように機械的な感じはしなかった。繊細で、素朴な味だった。千円と、味の割には安く、都内では同じ値段では食べられないだろう。僕は店を出た。今でも食感を、たしかに、脳裏に食べている時と同じように思い出すことができる。ドアを締めたとき、その集団の肌を露出していた女の姿が目に入った。そして、彼らはどこから来て、どこへ行くだろうかと思った。地元の人間ではなかったのだろう…、時々存在する、おいしいものを食べ歩くということだけで、男女関係を超越してここまで意気投合できる人たちの存在する不思議さ。少なくとも学生の頃の同じクラスにはいなかった気がする。
僕の学生の頃といえ
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