詩の日めくり 二〇二〇年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
いるものだけれど、授業が始まる20分くらい前に、近鉄鉄道で人身事故が発生したということで、職員室がしばらくガヤガヤしていたのだが、ぼくの前の席に坐ってらっしゃった下村先生が、「迷惑だね。」とおっしゃったのを聞いてびっくりした。ぼくは、また不幸にみまわれたひとがひとり、命を失くされたのだと思って深刻な気分でいたので、ふだんの調子で、「迷惑だね。」と言い放たれた下村先生の人格を疑ってしまった。まあ、生徒たちが時間通りに登校できないとはいっても、ひとひとりの命よりも優先する話ではないように思えたので。


二〇二〇年十三月十八日 「コックス先生」


 同志社国際高校に勤めていたころ、ぼくは
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