詩の日めくり 二〇二〇年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
キヤさん」


 日知庵にくるゲイのお客さんに、さいきん、どうですかと、発展場情報を尋ねてみた。千本日活のことだけれど、毎日、3本のポルノ映画をルーティンでやってるところだけど、あんまり変わらないという返事だった。でも、ミキヤさんが来てたって。ミキヤさんて、ひとが座席で気持ちいいことをしているときに、のぞきにくるので有名なひとだった。ぼくはのぞかれたことはなかったけれど、日知庵にきてたお客さんはのぞかれたことがあるらしくて、もう、ほんとにねえ、困っちゃったわって言ってた。


二〇二〇年十三月十六日 「字」


 学校からの帰り、興戸駅でごいっしょした習字の先生に、「ぼくは、飛ぶ
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