正風亭(推敲後)/武下愛
らっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は穢れを知らない純粋さで、周りまで明るくさせてくださり、笑われますので。良い方が見つかっていらっしゃるのなら連れて戴きたいものです。時代が移ろっても、移ろわないでしょう。
触れれば溶ける白い冬へ思い馳せます。白い化粧をした寒椿が赤い大輪の花を咲かせます。白を幹に枝に花に乗せた寒椿は陽に当たり、白ときらめきながら、首からほとりと美しいまま落ちて、ゆっくりと色あせて枯れて土に還ります。真白に落ちたばかりの寒椿は美しいままいたいと、叫んでいるようです。うつろわない事等、世界にはありはしないでしょうに。とわに咲き続けていく事で美しいというおもいが、失われてし
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