彼の欠片/ホロウ・シカエルボク
 
ことで
俺は困惑していた
話し声さえ聞こえるような気がした
俺は目を見開き
耳を澄ませてじっとしていた
誰も話し始めなかったし
誰も動くことはなかった
俺はため息をついて立ち上がり
洗面で歯を磨き、顔を洗って
もう一度ため息をついてベッドに潜り込んだ
自分がそれを感じなかったことが
嬉しいのか悲しいのかよくわからなかった
変な休日だ
そう思いながら
どんな夢も見ない眠りの中へ落ち込んでいた

妙に早くに目が覚めて
どうしたものかとベッドの上で上半身だけを起こした
陽はまだ上りきっておらず
部屋の中はメランコリックなPVみたいに薄暗かった
昨夜のような奇妙な緊
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