彼の欠片/ホロウ・シカエルボク
のピザを頬張りながら
あいつもきっと
家に帰って夕食を食うつもりだったに違いない、と
俺は思った
同じ日、同じ時間
同じ公園に居て
俺は生き残り、彼は死んだ
俺は夕食を食ったが、彼は解剖されたかもしれない
俺たちの運命にどんな違いがあったのか
そんなことを考えながらピザを食ったせいで
丸く切られたサラミが俺の体組織のように感じた
夕食のあと、電話が鳴り
出てみたが数秒の沈黙のあと切れた
電話をかけてくるような人間に心あたりはなかった
昼間の男かもしれない
シャワーを浴びると見知らぬ男の死の影は消え失せた
今頃は排水管の中を漂っていることだろう
ラジオをつけると
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