彼の欠片/ホロウ・シカエルボク
礼を重んじる警官だなと思った
のんびりする気分じゃなくなって
俺も公園を離れた
公園のすぐそばの
巨大なマンションが立ち並ぶ通りを抜ける時
なにかぞっとするものを感じた
公園のこととは関係がなかった
その通りに潜む
魔のようなものが居るように感じた
少し立ち止まってあたりを見回した
これほど巨大な居住空間の中で
休日の昼間
一人の人間も見かけないというのは奇妙なものだった
映画のセットの中に放り出されたみたいだった
夕方のニュースで公園の男のことが流れた
心筋梗塞ということだった
そんな歳には見えなかった
きちがいじみた暑さにやられたのかもしれない
夕食のピ
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