彼の欠片/ホロウ・シカエルボク
 

俺は頷いた
「今日は休みでね、のんびり座りたくて」
警官は頷いた
「あそこのベンチに居た男性は顔見知りですか?」
俺は首を横に振った
「いつもここに来るわけじゃないし、見たことない人だよ」
そうですか、と警官はメモを取った
「彼は死んでいるの?」
警官はこちらの胸中を探るような目をして頷いた
「寝ているのだとばかり…」
口にしてから逆に怪しまれやしないかと心配になったが、そんなことはなかった
「苦しんだようではないですね」
と、無理もないという顔をしながら警官は教えてくれた

警官は一礼して戻って行った
公園を去るときにもう一度俺に向かって会釈をした
随分礼を
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