ふるえる秒針/ただのみきや
 
として
結実した矛盾の完成形
発火した現象の眩い影
オピウムの目


奇妙な落胆だった
熟れ過ぎたプラムのように
雨はなにも語らない
ただ人は鏡の糸に微かな火花をちらつかせ
見えているようで見えていない
意識の少し先から
鋭利な刃物を向けられた気持ちになる
消えていった
静かに蛇のように
唇の赤だけが絶望的なほど
雷鳴が追いつくまで
ふるえる秒針のように


ヌミノーゼの波に乗って
干し草の香りがする二つのパンを食べた
少女が母親になるまでの時間
その胸元の陰で

ヌミノーゼの波に乗って
目覚めたばかりの二つの舌を切った
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