ふるえる秒針/ただのみきや
た
小川にねころぶ小鹿のさえずり
唐辛子の首飾り
ヌミノーゼの波に乗って
暗がりの二つの声を結ぶ
八人の赤ん坊が食い荒らす緑のウエディングドレス
軽薄な祈りと笑いへの投身自殺
ヌミノーゼの波に乗って
百合のような二つの手を差し出した
青い日差しがろくろを回す
死のエッセエンスと泡立ちの中で
ヌミノーゼの波に乗って
眼差し二つの衝突に
今というこの瞬間が砕け散る
残ったのは繋がりを失くした奇行だけ
ノミはネズミの耳に乗って
黒い酒樽の中で二つの愛に迷う
笛の音が焼きごてを踊らせていた
沈黙に座礁した黄金の子どもの尻を蹴るために
《2022年6月26日》
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