ふるえる秒針/ただのみきや
 
くマントラチックな青の群れ
ネズミたちが目蓋の中で太陽をかじっていた
骨の歌声が聞えるか
呼び交わす夜の水のあの声が


月が嫉妬するその果実は花をも忘れさせた
空ろの型を密に満たす
その曲線 熱 弾力
原初の喪失の肖像化
触れることも嗅ぐことも永久に許されない


眠らない心音は壁をさまよう魚になった
液化した眼差しから羽化したもの
触れるたびにひとつずつ
言葉が裂ける
だれかに口を塞がれたように

祝祭の矢が黒く集約されて
金属的な夜で埋められてゆく
月はバターみたいに溶けた


混沌を母として
秩序を師とし
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