それは素粒子よりも細やかそれはあやとりそれは贈り物/武下愛
構築している極華鏡。隙間すらも埋めて回る鏡。知らないから、成りたがる人々は不知案内。鼓動が止まない鼓動色のハイヒールを捧げると、砕けないガラスの雪を鏡が積もらせてくる。熔解しなかった円やかで揺るがなかった雪景色と重なり合って、透明だった吐息も白くなり、白を積もらせてしまう。
闇を寄せ付けず陽には頼らず輝く飾りでは無い晶月。欠けない満ちたままの月。知らないから、美しいという人々は残酷。掴めなかった木陰の光を水にして捧げるとティアドロップの結晶を月がこぼしてくる。硬質さえも受け止める瞳で余すことなく溶かしたら、投合した溶岩の、ティアドロップをこぼしてしまう。
こごえないほどの熱を空間に授け
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