それは素粒子よりも細やかそれはあやとりそれは贈り物/武下愛
 
出て浮く、星を飛ばしてしまう。

しぼんだり膨らんで気ままに空間を泳いでいる透けた白い宙母。透明な万色糸を垂らす母。知らないから、糸が見せかけの飾りだという人々は盲目。白夜の花束を捧げると、身を貫通する光色を母が放ってくる。過去と現在と未来の影で咀嚼し、吸収しながら循環させ、光陰を放ってしまう。

鮮やかさも陰にする光がない兆陰花。吹かれては兆ある陰を微細に変える花。知らないから、影だけだという人々は色盲。くるみの代わりに入れる殻を捧げると、暮れない白昼のベールを花がかぶせてくる。産まれる前の細胞で隠して、眠っていく夕日、夜の帳をかぶってしまう。

空間に同じ色は一秒もなくて多色を構築
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