正風亭(推敲後)/武下愛
良いのですよ。透明にゆらりふわりと浮かび透ける淡い桃色が雲になって雨が降り続けて青春している私です。青春が終わるのか分からないのです。終われとも終わるなとも思わないのです。夏にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は穢れを知らない純粋さで、周りまで明るくさせてくださり、笑われますので。良い方が見つかっていらっしゃるのなら連れて戴きたいものです。時代が移ろっても、移ろわないでしょう。
触れれば溶ける白い冬へ思い馳せます。白い化粧をした寒椿が赤い大輪の花を咲かせます。白を幹に枝に花に乗せた寒椿は陽に当たり、白ときらめきながら、首からほとりと美しいまま落ちて、ゆっくりと色あせて枯れて土に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)