正風亭(推敲後)/武下愛
土に還ります。真白に落ちたばかりの寒椿は美しいままいたいと、叫んでいるようです。うつろわない事等、世界にはありはしないでしょうに。とわに咲き続けていく事で美しいというおもいが、失われてしまうでしょう。存在する事が当然に成る可能性があるでしょう。じしょうにとらわれず、私だけは美しい寒椿の事を覚えていますから、なるべく苦しまれませんように。うつろい私から離れていくモノへ。心も体も健康でいられる事を鞭(むち)で強く打つより、もっと強くおもっています。けっして口に出せません。重荷に成れば、散ってしまうでしょう。冬にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は口先をへの字にしかめた顔をされて。同
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