正風亭(推敲後)/武下愛
のせい。桜のせいよ。また降り出した雨は桜色ではありませんでした、ですが幾分かましでした。放った花弁はくれない。私のせい。私のせいよ。春にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は、病気がちだけど元気でいらっしゃるでしょうか?病気ですと世の中では生き辛いでしょう。生き辛い方を、おもい、支えさせて戴きたい力が強まる事は、他の方によりましては悪い事なのでございましょう。
とめどなく湧きいずる青い夏へと思い馳せます。燃える白い花を咲かせるむくげは、二、三日でしぼみ、散ってしまいます。ですが、夏の間、何度も何度も消えないと叫ぶ様に花を咲かせます。青春を謳歌している様です。眺めては好きにして良い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)