正風亭(推敲後)/武下愛
ュッと掴まれました。心も痛みます。時計の様に思い巡らせながら、葉、銀杏の実を拾い思います。実は焼くのと茶碗蒸しに入れましょう。
淡く息吹く春へ思い馳せます。桜の枝にはまだ若い葉、夏になれば色濃くなる葉、既に薄桃色の花を咲かせ、雨が降らなければ一週間程で、儚く散ってしまいます。人は桜の散る姿を美しいと仰います。私は桜が世を憂いて薄桃色の花を散らすのでしょう。私が豪雪と溶岩の豪雨を春ですが、降らせていました。豪雪で溶岩が冷える事はございません。花びらが、一葉、二葉と、頬に張り付きました。慰めて戴いているようでした。かすかに雨が残っていたのでしょう。混ざり合い言葉にできず掌に閉じ込めました。桜のせ
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