蠅の王が見ている/ホロウ・シカエルボク
 
でこれ見よがしに話してんのは毎度大笑いだぜ、集団の為のシステムなんか俺は信じたことがない、これまでも、これからも、ただこうしてひとりで歩いているだけさ、バブルが弾けたあとに出来た巨大で豪華なビル、これがほぼ空物件で鍵すらかかっていないことを知っているものはあまり居ない、まあ、俺がそこで誰にも会ったことがないからそう思っているだけだけど、俺は七階までを階段で移動する、窓からはアーケードの薄汚れた窓を見下ろすことが出来る、七階、つまり最上階はスカイラウンジだった、看板や机や椅子、カウンターの裏の戸棚の中なんかは撤去されているが、作り付けのカウンダ―とスツールは取り残されている、そこに腰かけ、この街のメ
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