鬼女遠景/石と花/ただのみきや
 
もないダンテも知らない
きみ用のきみだけの地獄


時を超えた流れ弾に当たる男


見ることで得て
書くことで所有する
写すことではなく
ただ書くことで

緑に濁るホトトギス
まばたきは時間を啄み
顔をそこなう光の絵筆


土埃が舞う
頭の中に風が吹く
微睡みをかき分けて
千切れた蝶を追いかける

静けさの沸点
もの想う石に浸透する
言葉の影に佇むものよ
死者を縫い付ける針と糸


事物を己へ引き寄せて
事物に己を引き出されて

空想は現実に由来し
現実は空想に影響される

作品はイ
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