鬼女遠景/石と花/
ただのみきや
はイメージの上塗りを続け
認識は体臭のように気づかない
また事物を己へ引き寄せる
事物に己を引き出される
たわわに顕わに自分をさらし
そこはかとなく他人の匂い
*
血のように花びらが散った
石の上
幼子の指先が呼び起こす
眠れる声
石の声は沈黙ではなく
限りなく静止に近い
万象をゆらめかせて移り変わる
あの声は
石のこころの久遠を駆ける
散ったばかりの花びらが
宇宙を流れてゆく
《2022年6月11日》
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