透過の雨/ホロウ・シカエルボク
 
た大型工事用車両の
アイドリング時の奇妙な回転音が
内奥のほとぼりの中で鳴り続けていた
それは自動翻訳された文章のように
不実な脈絡と文節をばら撒きながら
弛緩したゴムのように思考に余計なRを描き
その頂点で俺は現実でも幻覚でもない
燻製された記憶のような景色を眺めていた
四本脚の鳥が
下手なバタ足みたいな羽ばたきで空を蛇行運転して
寝床はそいつの糞にまみれたような感触を残した
夜明けまで何時間
随分経った気がする
眠るどころか
死すら思わせるほどの経過
心象は鈍器のように内臓にのめり込む
あの時吐き気だと話したものを
もっと違う言葉で話せたらよかったのに


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