詩の日めくり 二〇二〇年九月一日─三十一日/田中宏輔
かった。エロースだった。ぼくの記憶違いだった。牧歌的な情景と、15歳の美少年と、その2歳年下の美少女の恋。文章を深く味わいながら読んでいる。じつに充実した時間だ。
ダフニスが海賊にさらわれたり、クロエーが他国の人間たちにさらわれたりするが、ダフニスの恋敵だった青年の回心とクロエーの恋するがゆえの行為と、神に敬虔な彼らのこと、神に助けられたりしながらの恋と冒険の織り交ぜだ。
素朴だが、つぎつぎと事件がつづく飽きさせない展開だ。
それにつれて、恋のほうも、だんだん発展していく。
102ページの終わりくらいに、年上の女からセックスの手ほどきをされるダフニス。それまでは、クロエ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(17)