野に咲く狂気/ただのみきや
 
に傷を負わせる

ああアイスクリンアイスクリン
嗜好が思考をとかすのに任せて
舌よ 招き寄せろ 
甘い脱力の果てに背面から
一枚の便箋へダイブして
言葉を依代に非在を生きろ

とってつけたような白い菊も
奇をてらしたような赤い薔薇も
わたしの棺には必要ない
死の間際には野の花を
両腕一杯に抱えているだろう

夜明け前の雨を花弁に残し
濃く まなざしに匂う
菖蒲の前で風は立ち止まる
花は盲目 ひとつの声
故に鏡
鏡は見えるものを見えなくし
鏡像は己の中に浮かび抽象をまとう

千々に乱れたものが結ばれて
ひとつのからだが濡れたまま焼きついた

万人に
[次のページ]
戻る   Point(0)