野に咲く狂気/ただのみきや
に傷を負わせる
ああアイスクリンアイスクリン
嗜好が思考をとかすのに任せて
舌よ 招き寄せろ
甘い脱力の果てに背面から
一枚の便箋へダイブして
言葉を依代に非在を生きろ
とってつけたような白い菊も
奇をてらしたような赤い薔薇も
わたしの棺には必要ない
死の間際には野の花を
両腕一杯に抱えているだろう
夜明け前の雨を花弁に残し
濃く まなざしに匂う
菖蒲の前で風は立ち止まる
花は盲目 ひとつの声
故に鏡
鏡は見えるものを見えなくし
鏡像は己の中に浮かび抽象をまとう
千々に乱れたものが結ばれて
ひとつのからだが濡れたまま焼きついた
万人に
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