野に咲く狂気/ただのみきや
人に等しく隠されたものが
在るのか 無いのか
きみはどう想う
卵の内側をなぞっても出口はないが
想像は未知を自在に羽ばたける
ぼくはそう想う
光を追い越して
過去にだって触れられると
きみはどう想う
万人に等しく隠されたものが
在るのか 無いのか
万華鏡を壊しても万の華は取り出せない
幾つかのなんでもない事実
美しくもない物事の切れ端が転がっているだけ
回すたびに軋んで痛みが走るガラスの破片とか
絵柄を想い出せない千代紙の切れ端
ひややかな眼差しから零れた黒い砂粒など
《2022年6月4日》
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