野に咲く狂気/ただのみきや
水と油のハーモニー
あなたの中のわたしだけを愛して
眼孔へ スッと収まる
音のようにつめたい死の雛
樹木が静謐を取り戻すのは風が死んだ時
力と方向を失えば人もただの空気
肉の風船につつまれたよどんだ息の溜り
巨石を崇めた古代人
巨石をどかす現代人
ゆっくりと知れ
謎と戯れながら
女神の衣の最後の一枚を剥ぐことなく
想像を糧として
さめる恋のようにではなく
うつつを夢でひも解きながら
原初の痛みのドアをくぐって
やわらかな肉体を想い
遥かに架かる天秤を見た
秒針で編まれた汗ばむ下着
せっかちは可視化され
草のように尖った自我が
辺りの景色に傷
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