野に咲く狂気/ただのみきや
祈り
自我を折檻する子気味よいアルゴリズム
夕暮れにオニグモが巣を掛ける
門燈の前のあの空虚に
毎夕あらたに作り直して
あの素早く美しい所作は何処から来るのか
冬虫夏草
人から記号へ変わるもの
積りに積もった虫の屍を見た
ハチ アブ ハエ チョウ ガ カ
トンボ カゲロウ カガンボ トビゲラ
ふと太陽の視線を感じてふりかえったが
嵌め殺しの窓からは曇り空
どうとでもとれる奇妙な顔だ
猫のように高いところを歩く
歩きながら裸でいる
その理由が追いつくのを待っている
裏返されて取り出せない動揺はひんやりした地下水
巣を道連れに落下した
ああ水と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)