時の落とし仔 地の逆仔/ただのみきや
 

冷凍食品の蛙たちが下腹部から脳まで這い上がる時間
蘇った劇団員たちは炎と戯れながら子どもたちに近づいて
その喉に自らの呪いと紐付けられた鍵を垂らす
発芽前のゴム毬のような魂を釣り上げようとして口うつしで
ささやきかける 時計の推力が虚無をまき散らす以前の
農村から死者たちの嘔吐(えず)きを通奏低音に淫夢から淫夢へと

赤い花弁を散らした水槽で顔の裏側を溺れさせる
尻切れの言葉を喉に詰まらせて瞳は鈴のように鳴っていた
足の踏み場もなく散乱した顔 顔 顔
その舌紋のイメージは記憶の内壁を這い回る青い蛞蝓
心音は孤独な死の蕾

スネア・ドラムの上でピーナッツが踊っていた
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