時の落とし仔 地の逆仔/ただのみきや
いた
差し込まれたフィドルの弓で脳が擦られると
闇に白くたなびく女たちがいた
やがて服を脱いで裸になると女たちは狼に姿を変え
夜明けの月に遠吠えしながら戯れ合っている
ドブロ弾きは酔いつぶれ目の中に月を宿したまま
とっくに湿った土に還っていた
言葉ではないなにかを口もとから垂らして
狼への欲情を抱いたままわたしは霧散する
肉体
わたしはこれを愛す
生活の道具
快楽の玩具
?がるため
遮るため
窓はあってもドアのない家
気ままな小舟
《2022年5月22日》
戻る 編 削 Point(1)