時の落とし仔 地の逆仔/ただのみきや
にしてしまう
近づこうと思えば離れ
離れようと思えば近づいて
自分でも忘れている
マンモスじみたなにかを氷漬けにしたまんま
水面上を凝視するが
なにもない孤独の海
水面下では変わらない欲求が
なにかに引き寄せられるよう
櫂も動力もなく勝手に動き出す
乳飲み子が乳房を求めるような
言葉にできない形にならない餓え
「魂」も「救済」も単なる言葉に過ぎない
どんな言葉に置き換えてみたところで
結局のところ人はみな魂の救済を求めている
スクリュー
胆汁に染まった柔らかなスクリューはヘルメットの中
区画整理される前に水没した街角で金魚たちを展開さ
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