時の落とし仔 地の逆仔/ただのみきや
 
せること





おろかもの

囁きにも飛ぶような
みどりの蜘蛛
手の甲で戯れて
光は重い
影は見えているふりから見えないふりへ
目を瞑っていた
風は初めからずっと





掃除夫

掃除夫が近づいて来る
帽子を目深に被り
箒で掃きながら
掃除夫が近づいて来る
壊れた懐中時計のように
冷たいなにかを内に秘め
掃除夫が近づいて来る
その耳には目があって
こちらをジッと凝視する





救済

突き詰めると人はみな魂の救済を求めている
先っちょの理想と土台が欲するものとのズレが
人をさまよう氷山にし
[次のページ]
戻る   Point(1)