鼓笛隊は反旗をひるがえす/ただのみきや
す者
現わす者
名指す者よ
ゆらめいている
木蔭と木漏れ日
厚みのない世界でのみ手を取り合える
わたしたちは共に
記号の中に現われる
*
ひとつの豊穣が燃え上る
前髪を切りそろえた
姑息なあどけなさ
熟れたプラムを指で潰す
トカゲの尻尾の絶叫
注射器の中で眠っている
空に盗まれたふたつの石
*
瞼の裏のうすむらさき
がらんどうのラジオ
酒に浸した脳からインクが染み出している
言葉に滋養はない
ただ味だけがある
沼の主を呼び寄せる
音だけがある
*
瞳の夜が焼かれて
皮を剥がれた世界
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