鼓笛隊は反旗をひるがえす/ただのみきや
用=*}
いつまでも見えないものに目を凝らし
澄み切った虚空にそばだてよ
見つけることで見失い
失うことで得る
忘却への出棺
こちらからあちらへ
あちらからこちらへ
贈り合い交わし合う鎮魂
折り畳まれた宇宙を耳元に広げて
ハツカネズミより小さな夢をかじる
心臓に重ねたピストルの
銃身がもぞもぞした
朝日を含む
澄んだ涎の銀の糸
*
腰から下が魚のまま肺呼吸を始め
嵐を妊娠しては辺りを巻き込んで行く
おまえは超重力の血まみれ時計
倒れて来た本棚の下でバラバラになって
元に戻るには失ったピースが多すぎた
着心地のよい音楽がわたしを鳥の群れに変えてしまう
そして鳥たちは記号の群れに
見つけた いや消えた いつもよりはやく
《2022年5月15日》
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