リアリストアリスの天国の肖像 その断面から/ただのみきや
逃げ去るロジックに『快楽の園』が立ちはだかった
ドアのない男が呼び鈴を咀嚼してマスカット色をした
変拍子の呼吸を訪ねながら長いうなじを辿ってゆくと
冷たい唇の向こうに毛虫たちの学校があった
柔道部には生徒はいなく自称コーチばかりが十数人で
揚げ足取りの稽古をしていたが
合気道部では一人の少女が綾取りに夢中だった
落下したビンには未来が詰まっていたろうか
頭を割られて笑うような目が空へと落ちてゆく
後ろめたい桜に追われながら風は後退りして
ポケットを探る駆け引きに内臓は蒼い眠りに落ちた
開かない鋏のために丸められた時代には一匹の蠅
爆心地から遠く離れたところではシャンパンの一
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