断層の誕生/ホロウ・シカエルボク
 
油の臭い、人いきれ、湿気、根源的な社会の風景はその時点で認識出来た、そしてその認識は、そこから何度場所を変え、人が変わっても塗り替えられることなどありはしなかった、間違いは間違いだった、正すことすら意味はなかった、それは間違えるための間違いであり、直しようのないものなのだということがやがてわかった、長い時間をかけて、間違えないように生きようと懸命に試みた挙句、それは間違えるものなのだという認識に行き着いた、間違えるために生まれてきた、間違いを知るために、欠陥をまざまざと見せつけられるために、一度間違えたことは二度と間違えないようにすることが大事だと人は言う、でもそんなこと出来るやつがどれくらいいる
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