断層の誕生/ホロウ・シカエルボク
、おそらくは誰一人、それを行おうとはしなかった、きっとそこから、取り返しのつかない人生をやり直すことなど御免だったのだ、人生なんてものは、間違いを犯し、やり直してこそだというのに、誰もそのことがわからなかった、現状がどうあろうが自分は前進していると信じ込んで、そうではないものを必死になって見下した、その結果自体はさらに醜く、おぞましく変化していったし、そうした人間の集合体は、何を生むことも出来ない崇高な共通概念を共有することでますます抜けられない地獄へと沈み、その歪みと、淀んだ沼のような自尊心を伝染させていった、俺は学食で天ぷらを食べながらそんな悲喜劇を眺めていた、安い天ぷら、安いソース、古い油の
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