断層の誕生/ホロウ・シカエルボク
 
ばそうしたことが如何に人生を豊かにするかというようなことを長々と語るような啓発もののタイトルが平積みになって次々と売れていっては翌年古本屋に並んだりした、俺はそれを恐れなのだろうと感じていた、死への恐れ、暗闇への恐れ、満たされぬこと、飢えることへの恐れ、それはていのいいヒットソングを生み、信じて祈れば天変地異で死ぬことはないというような宗教を生み、外に出て遊べば元気で素直な子供が育つという迷信を生んだ、みんなどこかで何かがおかしいと感じているはずだった、だってそうだろう、少し周りを見渡せばなにひとつ叶っていないことは明白なのだ、何かが間違っている、どこかから修正を行わなければならない、けれど皆、お
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