断層の誕生/ホロウ・シカエルボク
 
かったことがあるということだ、だから俺はどちらかといえば、生よりも死の側から世界を眺めてはそこに自分なりの秩序を設けていくというやりかたを好んできた、どのみち、どちらかにこだわることなど馬鹿げていると感じていたし、どちらかを選んで盲信しなければならないという考え方も好きではなかった、パンが好きな人間だって米を全く食わないというわけではないし、逆もまた然りだ、それはどちらかだけに限定出来るような物事ではないはずなのだ、しかし、だけど、世の連中は時折狂ったように生を賛美し、死を恐れ、兎にも角にも良いことだけを考え、悪いことはただの不運だとでもいうように、明るく前向きに生きていこうと説き、本屋に行けばそ
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