詩の日めくり 二〇二〇年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
身体をくっつけあっていたのを、何組ものカップルにジロジロ見つめられたことも思い出した。ガタイのいい、男の子がふたり身体を寄せ合いながらエレベーターに乗ってたりするとジロジロと見つめられる、まだそんな時代だったんだな。なんだか、とてもせつない思い出。ちなみに、ムルムというゲイ雑誌は、薔薇族やさぶといったゲイ雑誌とは違って、ハイクオリティのゲイ雑誌で、当時、名前のある作家がペンネームで書いてたり、海外のゲイ事情なんかを伝える、大判の雑誌で、格が違っていたと思うんだけれど、そのへんのことを詳しく書いてあるものを見たことがない。いやぼくも執筆者のひとりとして書かせていただいてた、『薔薇窗』にゲイ雑誌の詳し
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