詩の日めくり 二〇二〇年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
住んでたマンションに送ったことも覚えている。そのあと、ぼくらは二度と会うことがなく、あれこれ40年近くのときが過ぎてしまったってわけだけれど、フトシくんおことは、いまでも忘れられない思い出として残っている。そうだ。ふたりで、大阪のラブホテルに泊まったこともあった。じゃあ、5回会っているんだね。そのときのことを思い出した。ラブホテルの部屋に行くとき、エレベーターに乗ったのだけれど、男女のコンビが先に乗っていて、男の子の方は、ぼくたちを見ないように下を向いてたんだけれど、女の子の方は、ぼくたちをバチバチと見つめていた。そういえば、フトシくんが京都にきたとき、いっしょに河原町で食事をしに行くときに、身体
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